障害年金をもらえるのはどんな時なのか

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最終更新日 2024年12月3日

障害年金とは

障害年金とは事故や病気などの理由で就業能力が大きく低下したり喪失した場合に所得補償を行う趣旨で支給される年金の一つで、国民年金と厚生年金の2つの年金制度において存在しています。

しかし両者の支給要件は必ずしも一致しているわけではなく、支給要件には違いもあります。
また「障害」の内容や定義についても、他の公的保険制度との兼ね合いでも混同しないように注意を払う必要があります。

そこで今回は障害年金の支給要件の概要を国民年金と厚生年金にわけて説明し、周辺の給付や公的保険制度における「障害」の扱いについても御紹介してまいりましょう。

○障害年金を受給できるための要件

まず障害年金を受給できるための要件を確認しておきます。
支給要件は大きく分けて三要件から成っており、

  1. 障害認定基準を上まわる障害等級であること
  2. 保険料を一定期間未納していないこと
  3. 障害認定日において所定の障害等級に該当すること

とされているわけです。
それでは各要件のポイントについて押さえておきます。

※こちらも参考・・・・https://shougainenkin.org/

▶️障害認定基準を上まわる障害等級であること

①の障害等級の要件ですが年金の性格上当然のことながら障害状態にあることが当然の前提です。
ただ国民年金と障害年金ではそれぞれ異なる障害等級認定制度が用意されており、この基準に該当することで支給要件を充足することになるのです。

しかし国民年金が広く一般国民が就業能力が損なった場合に支給する制度になっています。
これに対して厚生年金は企業などで働く勤労者の所得保障のための制度ということで、両者には制度の趣旨には違いが見られます。

勤労者は自分の労働力を売り物にして給与を得ている立場にあるので、ある程度の障害等級であれば給与資格を認める必要性が高いと言えるのです。
そのため厚生年金では障害等1級と2級だけでなく3級についても一定の現金給付を認めています。

これに引換国民年金では障害等級1級と2級といった高度の障害状態になければ受給資格を取得することができません。
これは国民年金が自営業やアルバイトや無職者など幅広く国民全体をカバーする年金給付である為に、限られた年金原資のなかで給付対象を一定程度に限定する必要性が高いことが関係していると見られるからです。

ところで認定においては「現に就労していると対象外」になるとは明記されていません。
現に4人に1人は就業していると見られています。
働いていても受給のための等級に該当する可能性があることは、頭の隅に置いておくべきです。

▶️保険料を一定期間未納していないこと

また要件の②保険料を一定期間未納でないこと、ですがこれは通常の自動車保険などの損害保険と同様です。
例えば自動車事故に遭遇したとしても、保険料を支払っていなければ、サービスを利用することは出来ません。

これは至極当然のことでサービスを得る対価として保険料を支払っていることが当然の前提とされています。
これは年金受給においても同様で給付を受けるなら保険料は忘れずに支払っておくことが必要になる訳です。

具体的に解説すると、「初診日の属する月の前々月までの年金加入期間において保険料納付済み期間と免除対象期間が全体の3分の2以上であること」または、「初診日の属する月の前々月までの過去一年間に年金保険料滞納がないこと」のいずれかを満たしていればいいとされています。

この②要件では初診日を正しくおさえることがポイントです。
この保険料納付の要件は初診日において未納になっていても直ちに支給を受けることが出来なくなる訳ではありません。

前々月までの過去の保険料納付状態が判断の対象になるので「後納」してもさかのぼって有効にはできないのです。
初診日以降の保険料納付状態は等級を検討する上ではあまり意味がありません。
もちろん65歳以上では老齢年金に切り替わることになるので、老齢基礎年金などの受給額を左右すると言う意味では重要です。

▶️障害認定日において所定の障害等級に該当すること

そして③障害認定日に経過した時点で所定の等級に認定されることが必要です。
障害認定日は初診日から1年6ヶ月が経過した時点をさしています。

この1年6ヶ月という期間は傷病の治療により回復するのに必要な器官と考えられ、それ以上の回復は期待できないと考えられます。
他方でこの1年6ヶ月を待つまでもなく固定する状態と判断するのが妥当な場合もあるのです。

例えば手や足を切断したり心臓にペースメーカーを留置したような事例をゲルことが出来ます。
このような状況では障害認定日を待つまでないので概ね3-6ヶ月程度の期間で症状が固定した日が障害認定日です。

ところで「障害」が現金やサービスの受給資格の要件になっているものがあります。
たとえば労働災害で身体にしょうがいが残った場合には労災保険から年金や一時金支給を受けることが出来る場合があります。

労災では認定のための等級もさらに細分化されていますが、厚生年金や国民年金からの障害年金も受給できる場合があるので、もらいすぎにならないように併給調整がされることになります。

また介護保険では介護が必要かの観点から要介護度が認定され、その際に障害の程度が考慮されることになるのです。
このように障害年金における「障害」は多義的なニュアンスをもつので混同しないことが重要です。