最終更新日 2024年12月3日
国際連合児童基金の名前にピンとこなくても、「ユニセフ(UNICEF)」と言えば分かる方も多いのではないでしょうか。
国際連合児童基金の正式名称は「United Nations Children’s Fund」で、元々は、国際連合国際児童緊急基金(United Nations INternational Children’s Emergency Fund)と称する国際機関でした。
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1953年に現在の名称に変更された
1946年に第二次世界大戦で被災した子どもたちに対して緊急支援を行うことを目的としてイギリスにおいて設立され、日本も1949年から1964にかけて脱脂粉乳や医薬品などの援助を受けた被支援国のひとつでした。
その後、援助活動の充実に従って次第に活動範囲が広がり、1953年に現在の名称に変更されたという経緯があります。
かつては物資の支援と援助を中心に活動してきましたが、現在では世界中の全ての子どもたちの権利が守られる世界を実現するために世界190ヶ国以上の地域で活動を行っています。
その活動内容は大変多岐に亘りますが、代表的なものとしては「保険」「水と衛生」「栄養」「教育」「緊急支援」などが挙げられます。
「保険」は、2030年までに新生児及び5歳未満児の予防可能な死亡を根絶することを目的にしており、全ての子どもが乳幼児期に十分なケアを受けて守られ、より良い人生のスタートを切ることができるように活動を続けています。
世界で5歳を迎えることなく亡くなる子どもは年間520万人と言われており、その3大死亡原因は肺炎・下痢性疾患・マラリアです。
予防接種の普及や安全な環境の確保などの支援を行っている
新生児では生後28日以内に亡くなってしまう人数は年間240万人と、1日に約6700人の新生児が命を落としています。
特に地域や所得による格差が大きく、2030年までに目標を達成できないと見込まれている国は50ヶ国以上もあります。
これを解消すべく、予防接種の普及や安全な環境の確保などの支援を行っています。
「水と衛生」に関しては、清潔な水を届けられるように井戸などの給水設備や、衛生的な生活を送れるようにトイレの設置といった活動を進めています。
子どもたちが生きていく上で水と衛生を確保することはとても重要です。
汚れた水や不衛生な環境では感染症を引き起こしやすく、ただでさえ弱い命が危険にさらされることになります。
安全な水や衛生環境が整ってさえいれば、単なる生活の向上だけに留まらず健やかな成長も期待できるのです。
そして健康に育つためには「栄養」も必要ですが、偏った栄養では発育障害や低体重、過体重などになりかねません。
栄養不良の子どもは病気になりやすく治りにくいだけではなく、知能や身体の発達の遅れなども引き起こすため、その後の人生に大きな影響を与えてしまいます。
6300万人もの子どもたちが小学校にさえ通えていない現実がある
そのため、国際連合児童基金では栄養分野への投資が重要な開発優先事項と見なされています。
「教育」を受ける権利は誰もが平等に持っており、豊かな暮らしを実現するために必要不可欠ですが、その一方で世界では6300万人もの子どもたちが小学校にさえ通えていない現実があります。
これは教育の必要性について地域や大人の考え方が異なっていたり、教育施設や教材などの環境が整っていないなど原因はさまざまですが、国際連合児童基金ではそれらを区別することなく全ての子どもたちに質の高い教育の提供をすること、差別や不公平を撤廃することに重点をおいて支援を続けています。
「緊急支援」は創設以来のテーマであり、紛争や自然災害などの人道危機において最も犠牲を強いられている子どもたちを救う活動です。
創設から既に70年以上が経過していますが、世界ではなお紛争や災害によって傷つき、教育も受けられずにさまざまな困難に直面している子どもたちが2億4600万人もいるのが現状です。
費用は各国政府の任意の拠出と民間の人々からの寄付によって支えられている
近年の人道危機は、規模の拡大や長期化などこれまでとは異なる複雑な様相を呈しており、それだけに子どものみならずその家族までもが重大な危険にさらされているのが現状です。
これに対応すべく、コペンハーゲンの物資供給センターを筆頭に各地の供給拠点からニーズに合わせて迅速に物資を届けられる物流システムを構築し、一刻を争う事態において重要な役割を果たしています。
国際連合児童基金ではこのような活動を行っていますが、費用に関しては各国政府の任意の拠出と民間の人々からの寄付によって支えられています。
しかし、2019年に受領した総資金額はおよそ13億ドルとなっていますが、急を要する50ヶ国以上・4000万人以上の子どもたちを救うためには40億ドル以上が必要です。
特にシリアを始めとするその近隣諸国や、カメルーンやブルキナファソなどのアフリカ諸国における資金不足は著しく、緊急事態への備えを訴えるとともに更なる資金支援を必要としています。
まとめ
日本ではこのような子どもたちに起こる身近な問題はありませんが、国際連合児童基金を通して世界の現状を改めて確認してみてはいかがでしょうか。